Digestive Diseases誌に掲載された濱田康彦先生の研究論文「Factors related to difficulty in endoscopic submucosal dissection for superficial esophageal cancer」の日本語要旨です。論文本文は下記リンクより参照ください。
【背景】表在性食道癌に対するESDは高い技術が必要であるが、ESD困難症例を予測する因子に関する研究は少ない。本研究ではESD困難症例を予測する因子を検討することを目的とした。
【方法】2005年4月から2021年6月までに当院で表在型食道癌に対してESDを行った303病変について遡及的に検討した。性別、年齢、腫瘍部位、腫瘍局在、肉眼型、腫瘍長径、腫瘍周在性、術前組織型診断、術前深達度診断、食道癌に対する放射線治療歴、ESD瘢痕近傍病変、術者の経験、牽引法使用、の13因子を検討因子とした。食道ESD困難症例の基準については「手技時間120分以上を要した症例」とした。
【結果】今回の検討において食道ESD困難症例の基準を満たした病変は51例（16.8％）であった。ロジスティック回帰分析により、腫瘍長径30mm以上（オッズ比9.17、95％信頼区間：4.27-19.69、P < 0.001）および腫瘍周在性半周以上（オッズ比2.53、95％信頼区間：1.15-5.54、P = 0.021) が、食道ESD困難症例を予測する独立した因子であった。
【考察/結論】長径30mm以上および周在性半周以上が食道ESD困難症例を予測する因子であり、今回の結果はESD術前の治療戦略や術者選択に関する有用な情報となり得る。