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Study abroad experience海外留学体験記

はじめに

循環器・腎臓内科学教室は、若手医師の海外留学を積極的に支援しております。海外留学は、人生の中で大きな決断であり、大きなチャンスでもあります。私自身も、学位取得後に米国ピッツバーグ大学で約3年間、心エコーに関する研究をさせていただきました。渡米から6か月間は環境に慣れることに精一杯でしたが、地道に研究に打ち込むうちに周囲から頼られるようになり、最終年には自分でも驚くほどの成長を実感できました。
留学中に第一子が生まれるなど、生活面でもかけがえのない時間を過ごすことができました。
私に続いて、7名の医師が米国や欧州に海外留学し、素晴らしい成果と実績を残しております。
若い先生方は、是非とも海外に飛び出し、異文化で揉まれ、成長し、そして三重県と世界の未来を創る担い手になってください。

循環器・腎臓内科学 教授土肥 薫

過去の
留学先

2022海外留学

今後留学を考えている
研修医・学生に向けての
メッセージ

片山 鑑Kan Katayama

  • 役職准教授(病院教授)・部長
  • 専門分野腎臓内科、遺伝性腎疾患
  • 専門医資格日本腎臓学会専門医・指導医、日本透析医学会専門医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本循環器学会専門医
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留学のきっかけ

私の場合、大学院生のときに行ったAlport症候群モデルマウスを用いた基礎実験の結果をアメリカ腎臓学会で発表した際に、Alport症候群の原因遺伝子COL4A5を同定したKarl Tryggvason先生と知り合う機会を得たことです。

 

留学期間・留学先(施設・国)

2007年から2017年の10年間で、スウェーデンのストックホルムにあるカロリンスカ研究所に留学していました。

 

現地での生活・研究内容

現地の気候は北海道と同じぐらいで、三重県から行くと1年を通して少し寒く感じます。ただ、夏至の頃は夜まで明るく気温も暑すぎないため最高でした。夏至祭から夏にかけて、マンションの中庭で数え切れないぐらいバーベキューをしたのを覚えています。逆に、冬は1日曇っていたり雪が降ったりと気分まで暗くなることが多く、アルコールに癒やされていました。日本のような冷暖房エアコンはないのですが、冬の室内は温水パネルヒーターで常に暖かく保たれていて、半袖で過ごせるぐらいでした。風呂場も寒くなかったですが、トイレにウォシュレットはなかったです。

ストックホルムは電車や地下鉄が非常に便利で、たまに徒歩や自転車で通勤していました。チェーンをしていても自転車の盗難に3回ぐらい遭いました。食料品の買い物はいろいろ試して失敗と成功を繰り返し、自分なりの自炊ができるようになりました。研究以外にすることがあまりなく、日本語の読書をしたりジョギングをしたりしていました。フルマラソンのエントリーもfirst come, first served方式で、5回走れたのはいい思い出です。

研究内容は腎臓の糸球体に多く発現している遺伝子群の中からいくつかの遺伝子をピックアップしてゼブラフィッシュでノックダウンすることやノックアウトマウスの作製・解析を行っていました。日本で腎臓内科医をしていたことがきっかけで、カロリンスカ医学生に対する腎臓の臨床・生理学などの講義も勧められて行っていました。思ったほど実験は進まず、現地の夜間語学校に3年通い、スウェーデン語の国家試験に合格して、EU圏内で使用できる医師免許を取得しました。カロリンスカ大学病院腎臓内科で半年(そのうち2ヶ月は透析室)臨床研修を行い、スウェーデンでの医療についても触れることができました。スウェーデン語の勉強を英語の本でしたため、英語も上達して英検1級も取得できました。

 

今後留学を考えている方へのメッセージ

現在コロナ禍でなかなかまだ国外に出るのは難しいかもしれませんが、チャンスがあれば海外留学もいいと思います。スウェーデンは移民をたくさん受入れており、様々な国の方々との出会いもあります。予想できない海外生活の問題などもありますが、生きていく上でたくましくなり、また貴重な経験ができると思います。

  • カロリンスカ研究所の玄関
    黄金色の文字があなたを迎え入れてくれます。
  • ノーベルの銅像
    ノーベル生理学・医学賞の選考はカロリンスカ研究所で行われています。

ボストン
Beth Israel Deaconess Medical Center
に留学して

中森 史朗Shiro Nakamori

  • 役職講師
  • 専門分野循環器内科、心不全、心筋症
  • 専門医資格循環器画像診断認定内科医、総合内科指導医、循環器専門医
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2015年11月から2018年8月までの2年10か月間、ボストンのハーバード大学ベスイズラエルディーコネスメディカルセンター循環器内科で、運動負荷心臓MRIによる心筋血流評価と薬剤性心筋症動物モデルの作成をメインテーマに研究を行いました。当初は、臨床研究をする予定で留学しましたが、兼ねてから動物実験を経験したいこともあり、大型動物の全身麻酔、気管挿管、心臓カテーテルによる心筋梗塞作成、心臓MRI撮像など、豚と闘う日々を送りました。ヨークシャー種の豚は5㎏/週で体重増加するので、3-4カ月飼育すれば100㎏オーバーです。イノシシから食用に上手く開発されたとはいえ、こちらにとっては搬送も大変で一度ギックリ腰になってしまったのも良い思い出です。薬剤性心筋症発症機序の理解には、腫瘍学と心筋組織性状を包括的に理解することが重要ですが、両者の融合を強く意識した研究はほとんど行われていません。共同研究の重要性、MRIを中心とした画像診断の原理・技術開発のみならず、大型動物実験の技法、動物研究から臨床応用の知識・技術を身につけることができたと思います。

私のPrincipal investigator はバイオエンジニア出身であるため、論理の積み重ねにより新たな科学を作り出すことを目標としており、いかなる妥協も許さず突き詰めていました。自分には、このような基盤がないので、今後同様の研究を続けていくことは難しいと思いますが、臨床研究でよくみられる疫学研究、予後評価研究と違った研究の醍醐味を垣間見た気がしますし、視点を変えて研究のあり方について考える機会をいただきました。

海外留学を希望する動機は、その分野の最先端の研究室で学びたいといった高尚な目的でなくてもいいと思います。私のように、ベイラー医科大学への短期留学を機に、何となくもう一度アメリカに住んでみたい、英語を学びたいという理由でもいいと思います。世界の人々が、どのような形で交流しているのか、そして全く異なる価値観を知ることだけでも、貴重な経験になると思います。多様な文化や研究背景の研究者たちと、様々なトピックを題材に実りのあるディスカッションを楽しめることが最大の魅力とも言えます。そして、大切な家族の理解とサポートの上で実現する留学生活ですので、たくさんの思い出を作り、不慣れな海外生活を家族皆で乗り越えること、これが一番の醍醐味かもしれません。今までの経験を踏まえて、私からみた“海外研究留学”の魅力をお伝えできれば幸いです。そして、少しでも多くの若手研究者の方が海外での有意義な研究生活を経験していただけるよう願っています。

  • 動物実験施設で豚に心筋梗塞作成中
    (右側:筆者)
  • ラボメンバーとの記念撮影
  • 虚血性心疾患患者に対して運動負荷心臓MRIを施行中

ロサンゼルス
心エコー留学

大森 拓Taku Omori

  • 役職助教
  • 専門分野循環器内科
  • 専門医資格認定内科医、循環器専門医、心血管カテーテル治療認定医、ICLSインストラクター、AHA-BLS/ACLSプロバイダー
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海外留学について、あなたはどのような印象をお持ちですか?「絶対行きたい!」、「自分なんかがとてもとても…」、など、おそらく人それぞれだと思いますが、私の場合は、学生・研修医年次には、海外留学について考えたことは全くと言っていいほどありませんでした。そんな私が留学を思い至ったきっかけや実際の留学中の経験を、以下にシェアさせていただきますので、海外留学についてご興味ある方は、ご参考にしていただければと思います。

私は2009年に三重大学を卒業後、県内での初期・後期研修を経て大学院へ進みました。大学院在籍中に始まったカテーテルを用いた大動脈弁置換術(TAVI)を目の当たりにしたことでカテーテル弁膜症治療に関心を持つようになり、これらの治療で必須となる3D心エコーを学びたいと思うようになりました。カテーテル弁膜症治療に関する3D心エコー研究について調べてみると、米国ロサンゼルスにあるシーダースサイナイ病院がその最先端施設であることを知り、2018年12月に同院に臨床研究留学をアプライしました。

2020年1月からおよそ2年間、シーダースサイナイ病院の3D心エコーラボに留学しました。同院は、TAVI件数は全米最多、他の弁膜症カテーテル治療においても世界をリードする立場であり、日本にはまだ導入されていない治療も日常的に行われていました。私たちラボメンバーは同院の3D心エコー画像を管理・解析していましたが、その業務の中で最先端技術や治療を日々目の当たりにすることができたのは、海外留学ならではの経験であったと思います。また、個人的に特に印象深いことは、従来の2Dエコーと3Dエコーの違いについて学んだ点でした。2Dでは分からない、もしくは間違って認識してしまう恐れのある事柄・事象を、3D心エコーを解析することで、視覚的に、正しく理解することができるようになり、これが実臨床を行う上で非常に重要であることを経験しました。これらは、それまでの職場を飛び出し、3D心エコーという新しい技術のパイオニアかつ権威である指導者の元へ留学したからこそ学び得た財産だと感じています。

また、海外留学では、日本での多忙な生活から離れ、海外生活を満喫できることも魅力の一つです。私の留学先のロサンゼルスはほぼ毎日快晴、近隣にはハリウッドやラスベガスなどの有名スポットの他、日本にはない雄大な自然を満喫できる国立公園も数多くあり、余暇を過ごすには事欠きません。海外留学するにあたってロサンゼルス以上に優れた留学先はないのではないか、と思うほど、充実した現地生活を送ることができました。

以上、私の海外留学について述べさせていただきましたが、留学先から採用を勝ち得た方法やコロナ禍での留学生活など、まだまだ語り切れないことも数多くあります。ご興味がある方、もう少し詳しく話を聞きたい方は、三重大学循環器・腎臓内科学講座までお気軽にご連絡下さい。私たちがあなたの海外留学・キャリアパスをサポート致します。

  • シーダースサイナイ病院
  • 病院からの風景
    奥にはビバリーヒルズの高級住宅街が見られます。
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随時受付中。
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