多数傷病者受け入れ訓練を行いました(9月23日)

2023.10.25

 大型災害が発災した際、災害拠点病院である当院は、発災による混乱の中でも、病院としての機能を適切に維持することが求められます。日常とはかけ離れた状況下で診察や治療を行う場合にも、全スタッフが適切に動けるように、心構えを含めた日頃からの備えが非常に重要になります。

 その備えの一つとして、9月23日(土)、大型地震被害による多数傷病者の受け入れを想定した訓練を行いました。当院の医療従事者・病院職員だけでなく、消防署や近隣自治会の方々にもご参加いただき、参加者約300名という大きな規模のものとなりました。

「災害対策本部」の立ち上げ

 災害発生時には、災害状況を適切に把握し、その先を予測しながら、どう対応していくかの大きな方針を決定する中心的な組織が必要です。その役割を担うのが、「災害対策本部」です。

 今回は、当センターで作成した災害対策マニュアルに沿って、地震発生後ただちに災害対策本部を立ち上げ、病院の方向性を決定し、病院全体の統率がとれるように訓練を行いました。

 

各エリアの訓練

 災害時には、多数傷病者受け入れに対応するため、診療や患者さんの待機場所となる臨時的なスペースを確保する必要があります。このスペースを「エリア」と呼びます。

エリア訓練では、エリアの設置から始まり、搬送されてきた傷病者に「トリアージポスト」でトリアージを実施して、「緑エリア」「黄エリア」「赤エリア」「黒エリア」で治療や対応にあたる訓練を行いました。

 各エリアでは、トリアージに基づき送られてきた多数の傷病者の対応を行い、改めて手順や機器の手配を確認しました。また、脈や呼吸がなく救命の可能性が低い人を受け入れる黒エリアでは、患者さんやご家族への対応やメンタルケアのあり方などについて検討しました。

 

近隣自治会からの訓練参加

 地域全体に被害が広がる可能性のある災害時には、医療においても近隣住民の方々との協力は欠かせないものとなります。

 そこで今回の訓練には、当院の近隣の自治会の皆さまにも参加いただき、見学にとどまらず、傷病者を担架付きリヤカーで搬送するなどの訓練も体験していただきました。

 訓練終了後、ご参加者からは、「実にリアルな訓練であり、貴重な体験になった」、「病院全体で真剣に訓練に取り組む姿を見ることができてよかった」といった感想をお聞きしました。

 自治会の皆さまと共に防災訓練を行うことは、当院にとっても災害時の地域連携について考える貴重な機会です。またこうした共同訓練の場を作り、近隣地域の皆さまに災害拠点病院としての当院の役割をご理解いただくとともに、一緒に災害に強い地域を作っていきたいと考えています。