市民公開講座を開催しました(3月25日)

2023.03.27

 3月25日(土)、市民公開講座『これだけは知っておきたい!南海トラフ大地震の津波への備え』を開催しました。

 講座では、災害拠点病院である当院と地域の防災専門家が津波後の感染症対策、災害時に役立つ応急処置や一次救命の仕方などの講演を行った他、自助・共助をテーマとし防災ヘリ・災害支援車などの見学、一次救命処置・応急手当などの体験ができる「救命と救護の体験会」も同時開催し、講座と屋内体験ブースには216名、屋外の見学会には200名もの方々にご参加いただきました。

 グラウンドでは防災ヘリ、ドクターヘリが着陸の様子を披露し、消防車、救急車、災害支援車両が整列。消防ブースでは消防服の試着体験も行われました。来場者は親子連れが多く、子供たちが普段なかなか見ることのできない車両を間近にし、目を輝かせている姿が印象的でした。

 屋内では、「救命と救護の体験会」が各ブースに分かれて行われました。当センタースタッフや医学科学生、高校生ボランティアが主体となり、身近なものを代用して行う応急手当や傷病者の担架搬送、一次救命処置、水災害AR体験、災害時に有用な簡易調理法-パッククッキング-等について参加者にレクチャーし、体験をしてもらいました。

 応急手当のブースを体験された参加者は、「一時的ではあっても、こんなに身近なもので手当ができるとは驚いた。」、「実際に他の人の腕を借りて処置をやってみることができてよかった。思ったより難しくはなかったが、有事にこの物品が代用できることや、処置の仕方を知っているのと知っていないのとでは訳が違う。今日参加し、知ることができてよかった。」と、災害について正しく知り、備えることの重要性について実感されていました。

 市民公開講座では、一般的な防災についてだけでなく、病院機能や感染対策など様々な視点からの演題があげられました。その後のパネルディスカッションでは、「担架がない時の応急担架の作り方」、「胸骨圧迫はどれくらいの強さですればよいか」、「外出先での災害対策」等の議論がなされました。

 一次救命処置・担架搬送についての講演、AR体験ブースに携わった医学科3年生の池山さんは、「ARブースでは、高さの基準を示す物(30.50.70.100cm)を置いて津波をよりイメージしやすいよう改良を加えた。親子連れが多く、特に子どもたちはiPadに興味津々であった。講演では、一時救命措置・担架搬送について話した。舞台に1人で上がる機会はあまりなく緊張したが、伝えたい内容は最低限伝えられたと思う。また、写真だけでは分かりづらい担架の使い方を舞台上で実技し、自分自身も良い経験になった。」と一日を振り返っています。

 当院は災害拠点病院として、このような機会をもつことで、普段の取り組みから蓄積した防災や災害医療に関する知識を病院内のスタッフだけではなく、ひとりでも多くの地域の方々にも共有し、防災における備えの大切さをともに考えていける存在でありたいと考えています。