小児神経学および関連領域の医学医療に関する学識と経験を有すると日本小児神経学会から認められた医師です。小児神経専門医は、小児期にけいれん、運動、知能、感覚、行動や言葉の問題などの神経系機能障害をおこす病気について専門的医療を提供します。保健・福祉行政、教育関係者などと連携して、重症心身障害、知的障害や発達障害のある児(者)により良い療養体制や療育を提供するために尽力します。
当院は日本小児神経学会小児神経専門医制度における研修施設として認定されています。また、三重病院、三重中央医療センター、三重県立総合医療センターは研修関連施設として認定されています。
これらの研修施設、研修関連施設において5年間の研修を修了することで小児神経専門医の申請資格が得られます。三重大学医学部附属病院での小児神経学研修に興味をお持ちの方はぜひご連絡ください。
小児神経専門医の申請資格
- 日本小児科学会が認定する小児科専門医または日本リハビリテーション医学会が認定するリハビリテーション科専門医の資格を有すること
- 5年以上の学会の会員歴を有すること
- 小児神経専門医研修施設あるいは研修関連施設において、到達目標にかなった小児神経疾患30例の症例要約と、その症例詳細報告5例を提出すること
- 研修施設指導責任医、または専門医資格を有する学会評議員の推薦状を提出すること
- 最近の5年間に以下の合計が50単位以上あること、さらに次の2項を満たすこと
- 最近5年間に学会学術集会、小児神経学セミナー、学会が認めた地方会または国際関連学会などに出席した合計が20単位以上あること
- 学術集会および地方会、関連学会に演者として2回以上発表し、小児神経学に関する論文(筆頭)を執筆した業績があること
当院の小児神経診療について
当院は厚生労働省から選定された小児がん拠点病院であり、年間約30人の新患の悪性腫瘍患児が入院する東海地方でも有数の小児血液腫瘍専門の施設です。
周産母子センターNICUでは、多岐にわたる新生児期複雑心奇形合併例を中心に、低出生体重児例、先天異常症候群例、神経発生異常合併例、小児外科疾患合併例などハイリスク例を診療しています。
また、救命救急・総合集中医療センターでは、小児の神経系外傷、脳血管障害、けいれん重積などを診療しています。
小児神経専門外来では、入院患児の小児神経合併症について退院後のフォローアップをするとともに、他施設から紹介された小児神経疾患の診断と治療を行っています。
当院の小児神経専門研修においては、病棟医として入院患児の小児神経合併症の診断と治療にあたり、臨床所見の取り方、脳波や神経伝導検査などの神経学関連の検査を習得します。
てんかん診療においては、通常の短時間脳波記録では困難な頻度の少ないてんかん性異常波や発作時波形を捕捉するために長時間ビデオ脳波同時記録(ビデオ脳波モニタリング)を行います。脳血流SPECT、FDG-PETを行い、てんかん原性部位の同定を試みます。薬剤抵抗性のてんかんは高次のてんかん専門施設に紹介する場合もあります。
先天性ミオパチーや筋ジストロフィーが疑われる場合は筋生検を行います。筋生検の手技や生検筋の凍結固定法を習得しますが、筋病理診断は他施設に依頼しています。
経験した症例の考察を深め、日本小児神経学会東海地方会や小児神経学関連学会で報告する習慣をつけてもらいます。臨床研究は日本小児神経学会学術集会や国際学会で発表してもらいます。発表内容は「脳と発達」や「Brain and Development」などの英文ジャーナルへ論文発表してもらいます。
研修関連施設では、新生児、乳児の発達の見方、臨床所見の取り方を学びます。神経学関連の手技、検査も習得します。また、病棟医または外来医として一般病院における小児神経疾患の診断と治療を学びます。三重病院においては、病棟医として重症心身障害児(者)の医療と福祉制度を学びます。
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