消化器内科研修・入局のご案内

三重大学消化器内科では、これまで、第一、第二、第三内科学講座が分担して行っていた消化器内科診療を、各グループの特色を引き継ぎつつ一元化し、2021年より新たな体制でスタートしました。現在では三重県の消化器内科医が一丸となって、臨床、研究、教育および地域医療の更なる充実に日々邁進しています。中でも三重大学病院はその中心的役割を担っており、肝臓・消化管・胆膵の各領域の高い技術を有するエキスパートが多くの患者さんの診療にあたるとともに、若手医師の教育・指導を熱心に行っています。そして、診療体制の刷新に伴い、若手医師のキャリアプランについても、充実した新たな体制を構築しました。下に具体的なプランをお示しします。

<初期研修(1-2年目)>

消化器内科は内科の中でも1, 2を争う患者数を有する診療科であり、common diseaseの代表格と言えると思います。また、疾患の種類も消化管出血や急性腹症のような急性期疾患から、癌や炎症性腸疾患のような比較的長いスパンで診療を行う疾患まで非常に幅が広いのも特徴です。特に腹痛は将来どの診療科を選択しても高い頻度で遭遇しうる症状であり、できれば一度は消化器内科をローテートしていただきたいと考えています。三重大学消化器内科では、上級医の指導のもと、主に下記のような内容について研修することが可能です。

  • 多様な消化器疾患の初期対応と病棟管理
  • 腹痛の鑑別診断
  • 腹部エコーによるスクリーニング
  • 腹部CTやMRIなど画像の読み方
  • 内視鏡や超音波を用いた治療手技の介助
  • 進歩するがん薬物療法の実際
  • 進行癌の患者さんの緩和医療
<後期研修(3-5年目)>

研修医2年目の秋ごろ、遅くとも1月までには診療科を選択することになると思います。三重大学消化器内科の専門プログラムを選択していただいた場合、基本的に3-5年目の後期研修は県内の市中関連病院において研鑽を積んでいただきます。三重県内の中核病院のほとんどは三重大学の連携施設となっており、各病院の指導医が親身になって指導してくれます。後期研修をどの病院で行うかについては、各先生の希望を最大限尊重します。また内科専門プログラムの規定により、5年目の半年~1年間は三重大学病院で研修を行っていただくことになっていますが、特に初期研修から市中病院で研修している先生方にとっては、大学の医療の実際を知るいい機会となっています。5年目終了時までには、一般消化器内科診療に加えて、上下部内視鏡検査や腹部超音波検査、超音波内視鏡検査、簡単な超音波下穿刺手技などの習得が可能となります。そして順調にいけば、6年目に内科専門医試験の受験資格が得られます。

<6年目以降>

大きく分けて、大学コースと市中関連病院コースの2つがあります。
① 大学コース
消化管・肝臓・胆膵のいずれかのグループにおいて、各領域の全国トップクラスの指導医の下で、スペシャリストとしての修練を積んでいただきます。具体的には、消化管グループでは食道・胃・大腸における内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や小腸ダブルバルーン内視鏡、肝臓グループでは肝腫瘍に対する経皮的アブレーション治療(RFA、マイクロ波)や静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法(EIS)、胆膵グループであればERCPや超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)、EUS下胆道ドレナージ(EUS-BD, EUS-HGS)など、高度な技術を学ぶことができます。さらに大学院に入学した場合、下記に示すような臨床研究・トランスレーショナル研究・基礎研究のいずれかを行うことによって、学位を取得することが可能です。

  • 臨床研究においては、新たな治療・診断手技の開発や、前向き診療データ収集などにより論文化を目指します。4年間の大学院の中で、一定期間、市中関連病院に在籍しながら研究を行い、市中関連病院と連携してデータを集積する形も可能です。
  • トランスレーショナル研究では血液や生検検体などの生体試料を用いて、病態解明やバイオマーカーの探索を行います。本コースでは、臨床手技の修練を行いながら、並行して研究を行うことが可能です。
  • 基礎研究においては、細胞株や遺伝子改変マウスを用いた解析手法に加え、マルチオミクス解析など最新の基礎生物学的手法を用いて病態解明や新規治療法を探索し、トップジャーナルを狙えるハイレベルな研究を行う体制を整備しました。また、診療業務を軽減し、研究に専念していただくことも可能です。
  • トランスレーショナル研究や基礎研究を行う際には、今後より重要性が高まると考えらえれる、データサイエンスを駆使したバイオインフォマティクス解析についても、世界最先端の専門家による指導を受けることができます。

大学院に入学しても、臨床トレーニングを並行して継続することによって、消化器病専門医・肝臓専門医・消化器内視鏡専門医を取得することが可能です。

また大学院卒業後は、国内外への留学を積極的に支援しており、最近も、カリフォルニア大学サンディエゴ校、国立がん研究センター、がん研有明病院、愛知県がんセンターなど、国内外の様々な施設へ留学しています。また大学で診療・研究を継続する、あるいは市中関連病院に戻ってさらに研鑽を重ねるなど多様な選択肢を自由に選択できます。

② 市中関連病院コース
後期研修を行った病院、あるいはそれ以外の県内の病院でさらにトレーニングを継続していただきます。もちろん、途中で大学コースに変更したり、短期間のみ大学で研修するなど、状況に応じてフレキシブルな対応も可能です。また市中関連病院コースから国内外への留学希望がある場合も、積極的に支援しています。


若手医師の卒後モデルコース(5年目までは共通)

大学院のモデルコース

消化器内科に興味がある先生へのメッセージ

消化器内科は、患者さんが多く、疾患が多種・多様で、とてもやりがいがある診療科です。また内視鏡や超音波手技をマスターすれば、大学や市中中核病院での勤務以外にも、一般診療所、検診施設、緩和ケア施設、開業など、何歳になってもいろいろな働き方ができるのも魅力です。

  • 癌に代表される重篤な疾患と戦いたい
  • インターベンション・専門領域を極めたい
  • ジェネラルな医療を目指したい
  • 予防医学に魅力を感じる、手に職をつけたい
  • 医学者として、様々な疾患に挑戦したい

    など、様々な目標を持った先生を募集しています。

 三重大学消化器内科は働き方改革も進んでおり、出産・育児などそれぞれのライフサイクルに合わせたサポート体制も充実しています。

 

 また他県で勤務中の方で、今後三重県で働くことを検討されている方も大歓迎ですので、気軽にご相談いただければと思います。
 とにかく消化器内科は楽しいうえに、やりがいも抜群です。仲間に入ってくれた先生は、全力でサポートします。医局をうまく活用し、各自の将来の夢や目標をかなえてくだされば、この上なくうれしいです。新しい三重県の消化器内科をともに作っていきましょう!

消化器・肝臓内科教授
中川 勇人

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