論文紹介

血清Zinc-α2-glycoprotein(ZAG)値は、慢性肝疾患患者の肝腎機能および予後と関連する

Internal Medicine誌に掲載された重福隆太先生の研究論文「Serum Zinc-α2-glycoprotein Levels are Associated with the Hepatorenal Function and Predict the Survival in Cases of Chronic Liver Disease」の日本語要旨です。論文本文は下記リンクより参照ください。

要旨:

背景:Zinc-α2-glycoprotein(ZAG)は、肝臓、腎臓、脂肪組織など様々な臓器から分泌され、脂肪分解に関与する脂質動員因子である。ZAGは慢性肝疾患の発症に関与する可能性があるため、血清ZAG値が肝腎機能、体組成、腹水、肝性脳症、門脈-大循環短絡形成および予後の代替マーカーとなり得るかを評価した。

方法:180例の慢性肝疾患患者の入院時の血清を用いて血清ZAG値を測定した。重回帰分析を用いて、肝機能および臨床パラメーターと血清ZAG値の関係を調査した。また、ZAG/クレアチニン比 (ZAG/Cr)の関連性を評価するためにカプランマイヤー分析を行った。

結果:血清ZAG値は、肝腎機能と関連していた。重回帰分析の結果、eGFR (p<0.0001)、ALBIスコア (p=0.0018) および皮下脂肪面積 (p=0.0023) は、血清 ZAG 値とそれぞれ相関関係を有した。血清ZAG値は、肝性脳症、門脈-大循環短絡形成がない症例でより高値を示した (p=0.0023、p=0.0003)。さらにZAG/Crが高い症例において、全患者および肝細胞癌がない患者の累積死亡率が有意に低い結果であった (p=0.0018、p=0.0002)。 ZAG/Cr、肝細胞癌の有無、ALBIスコア、骨格筋係数は、慢性肝疾患患者の予後予測因子であった。

結論:血清ZAG値は、肝腎機能と関連しており慢性肝疾患患者の生存率を予測できる。

https://doi.org/10.2169/internalmedicine.1475-22

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