論文紹介

胃切除後症例における表在型食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術の有効性について

Scientific Reports誌に掲載された濱田康彦先生の研究論文「Propensity-score matched analysis to evaluate efficacy of endoscopic submucosal dissection for superficial esophageal cancer in gastrectomized patients」の日本語要旨です。論文本文は下記リンクより参照ください。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、表在型食道癌に対する低侵襲な治療法であり、同時に高い完全切除率が得られる。しかし、胃切除後患者の表在型食道癌に対してESDが有用かどうかを非胃切除後患者と比較した報告はない。本研究では胃切除患者の表在型食道癌に対するESDの有効性について、非胃切除後患者と比較した。2005年4月から2021年10月までに、三重大学医学部附属病院においてESDで治療した表在型食道癌318症例を対象とした。バイアスを最小化するため、傾向スコアマッチングを行い両群におけるESDの治療成績を比較した。318例において、胃切除後群と非胃切除後群はそれぞれ48例と270例であった。1:2の傾向スコアマッチングにより胃切除後群44例と非胃切除後群88例が抽出され、マッチング後は両群間の背景因子の比較で有意差を認めなかった。またESDの治療成績についても完全切除率、手術時間、入院期間、再発率に両群間に有意差は認めなかった。さらに多変量解析により、胃切除は食道ESD困難症例となる危険因子ではないことが確認された。以上の結果より、胃切除後患者の表在型食道癌に対しても非胃切除後患者同様にESDは有効と考えられた。

https://www.nature.com/articles/s41598-022-15410-4

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