論文紹介

ステロイド治療で軽快しえた腹水と嚢胞を伴う自己免疫性膵炎の一例

Internal Medicine誌に掲載された木戸恒陽先生(松阪中央総合病院所属)の論文「Autoimmune Pancreatitis with Massive Ascites and Multiple Pancreatic Cysts Successfully Treated with Prednisolone: A Case Report」の日本語要旨です。論文本文は下記リンクより参照ください。

症例は64歳男性。大量の腹水と直径73mmの巨大な嚢胞を有しており、膵癌の腹膜播種を疑われ,当院に紹介となった。CTで多発性膵嚢胞と大量の腹水を認め,超音波内視鏡検査(EUS)で膵頭部に28×27 mmの低エコー性腫瘤を認めた。しかしながら、血清IgG4値の上昇を認めたことや、同部位からのEUS-FNAでの悪性所見を認めなかったことからは、1型自己免疫性膵炎(AIP)が考えられた。入院後よりステロイドによる治療を開始し、ステロイド治療開始後11日目のCTでは嚢胞の縮小と腹水の減少を認めた。以上より1型AIPと診断した。
腹水と嚢胞を伴うAIPの症例は非常に稀である。今回我々は、多発する膵嚢胞と大量腹水を合併し、ステロイドによる保存的加療で軽快しえた、稀なAIPの1例を経験したためこれを報告する。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/advpub/0/advpub_0003-22/_article

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