論文紹介

15mm未満の直腸神経内分泌腫瘍に対する内視鏡的切除の有用性

Digestive Diseases and Sciences誌に掲載された濱田康彦先生の県内多施設共同研究論文「Efficacy of Endoscopic Resection for Rectal Neuroendocrine Tumors Smaller than 15 mm」の日本語要旨です。論文本文は下記リンクより参照ください。

背景: 15mm未満の直腸神経内分泌腫瘍(NET)においては転移リスクが低いとされ、内視鏡的切除の有効性が報告されているが、その短期・長期成績については明らかでない。
目的:15mm未満の直腸NETに対する内視鏡的切除術の短期および長期成績を検討した。
方法:三重県内7施設において内視鏡的切除術を受けた15mm未満の直腸NET患者の短期・長期成績を、腫瘍径10mm未満のグループと10¬–14mmのグループに分け検討した。
結果:全体で139病変(10mm未満:118病変;10–14mm:21病変)が対象となり、WHO基準によるNET grade G1は135病変、G2は4病変であった。完全切除率は10mm未満と10–14mmのグループ間で有意差を認めなかった(P = 0.151)。10mm未満の病変において、ESDおよびESMR-Lはいずれも90%以上のR0切除率であり、またESMR-Lは治療時間(P < 0.001)および入院期間(P < 0.001)がESDよりも有意に短かった。腫瘍径10–14mmのグループではESMR-Lは行われておらず、一方ESDはR0切除率80%であった。リンパ節/遠隔転移において脈管侵襲は有意なリスク因子であったが、腫瘍径についてはリンパ節/遠隔転移において有意な関連性を認めなかった。
結論:内視鏡的切除は、他の転移リスク因子が無い腫瘍径15mm未満の直腸NETにおいて有効な治療法と考えられる。またESMR-Lは10mm未満、ESDは10–14mmの直腸NETに対する内視鏡的切除法として適当と思われる。

https://link.springer.com/article/10.1007/s10620-023-07914-4

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